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leaf平成23年度 林業技術に関するアンケート調査結果


インテレクチュアルアセットマネジメント株式会社では、平成23年度森林管理における作業の機械化、ロボット化の可能性について、全国の森林組合を対象にアンケートおよび、聞き取りによる情報収集を行いました。林業従事者の高齢化や、度重なる大規模な天災、人災に立ち向かうための技術、これからの森林組合のあり方など、森林事業および林業技術に関する現状の問題点と今後の展望についての忌憚のない意見をいただきました。

(アンケート方法)
今回のアンケート調査では、国の森林組合を対象に、森林管理を積極的に行っていると判断した100の組合を選択抽出し、郵送およびヒアリングによる情報収集をおこないました。サンプル数が少なく、無作為抽出ではありませんので、日本の森林組合の総体を表しているものではなく、また集計値は全体の平均を表しているのもではありません。

・アンケート実施者  インテレクチュアルアセットマネジメント株式会社
  ・実施期日 平成23年11月9日〜平成23年11月25日
     
  ・郵送調査法 郵送およびFAX
  ・有効回答数 26組合
  ・回答率 26%
  ・要求精度 8%
  ・信頼率 80%

I. アンケート対象組合データ

  平均 縮小 最高
  ・従業員数
74.3
22
219
  ・(うち現場作業員数)
56.5
8
169
  ・平均年齢
45.1
38.3
65
  ・(うち現場作業員数)
48.3
36.8
65
  ・管理面積
25.2453ha(公有林25% 民有林85$)
  ・年間出荷量
19.245立方メートル
  ・出荷木材構成
(スギ56.5%、ひのき31.7%、松14.0%、その他18.5%)


II. 枝打ち作業についての質問

今回のアンケートでは、既存の枝打ち作業の過程や使用する道具について、操作性、機能性、安全性という点から、枝打ちのロボット化に求められる「環境条件」を数値化しました。

i.)枝打ちのスケジュール
 
(1回目)
(2回目)
(3回目)
  ・植樹後何年後
11.0年
15.4年
18.8年
(最長25年)
  ・高さ
2.4m
3.8m
5.7m
(最長13m)
  ・直径
9.4cm
14.2 cm
17.9 cm
(最大25cm)
  ※3回以上行う組合は調査対象組合の40%に相当。

1回目の枝打ちは植栽から7-10年後で枝打ち部分2m位、2回目以降は木の種類や成長度合い、素材の特徴、生育場所の立地条件によりまちまちで、平均値はとりづらい。通常6mあれば、3m長の角材が2本分できるのでこの高さまで枝打ちが施される。ただし、材によっては13mくらいまで枝打ちを行うところもあった。枝打ちの方法や時期は、切り出される材の最終的な利用方法を予測し、木の種類や生育環境により決められるので、平均値はあまり意味がないが、直径20cm以内の樹齢25年以内の若木に行われる。なお、通常樹木の高さは、直径よりも樹齢によって決まるので、植林した時期からおおよその枝打ち時期を決めることが多い。

ii.) 枝打ち作業をおこなう森林の割合
・枝打林面積/全体
管理総面積の11%の森林において枝打ち実行

現在おこなっている枝打ち作業は、若木の頃に枝打ちしそびれた、大きな木に対するものが多い(植林自体が最近ではあまりおこなわれていないから)。スギの場合は、枯れ枝を落とす作業がメイン。なお、枝払い作業は管理面積全体の10分の1、多くとも1割5分の区域というのが対象森林組合の平均である(アンケートでは枝打ち面積率が80%(ヒノキ林)、50%(スギ林)などの森林組合もあった)。

iii.) 枝打ち作業について
・作業員編成
3.8人(何人編成で枝打ちをするか)
  ・作業員の平均年齢
49.6歳 (最小18歳 最大75歳)
     
  ・一人あたり伐採量/日(低木)
115本 (最小100本 最大200本)
  ・一人あたり伐採量/日(高木)
58本 (最小50本 最大90本)

枝打ち作業は、通常3−5人編成で行われ、低木(枝打ち部分2.5m)だと100本、高木(枝打ち部分6m)で50本程度を1日で処理する。作業員の平均年齢は50歳くらいで、中には75歳をこえて作業を行っている方もおられる。

iv.) 節の有無による価格差はどのように表われるか。
・原木販売では価格の差はない
50%
  ・50%から150%の上昇  
30%
  ・200%(2倍)以上の価格差  
5%
  ・現在取り扱ってないので分からない  
20%


丸太の価格は1980年頃のピーク時に較べると、現在の価格は約半分ほどになっているが、ブランドが確立された無節の木材はいまでも2倍以上の価格で取引されるところがある。アンケートでは、ヒノキ角材において1立米あたり10000円から35000円ほど節有り角材よりも高く売られているところもあった。しかし、多くの現場では、枝打ちされた素材を出荷しても、引き合い段階で優位性を持つことはできるとしても、価格差として現れることはほとんどないのが現状である。スギの場合は、枝打ちされた素材として出荷しても価格差はほぼなくなっている(一部を除く)。ブランドを確立している森林組合においては、先達の作りあげたブランドを守り続けるために、森林組合のプライドにおいて枝打ちを続けているところもある。なお、枝打ち材を割高で出荷しているブランドヒノキ材産地では「これだけ高い値段で売れるのは昔の人がちゃんと枝打ちをしていたから」とのこと。ただし、現在ある若木に対して枝打ち作業はその組合ではほとんど行われていないという。

v.) 枝打ちに使用される道具
graph
(初期枝打ち)
一回目の枝打ちに使用される道具(複数使用もあり)
のこぎり
43% (枝打ち専用ノコ含む)
  なた  
26% (枝打ち専用ナタ含む)
  チェーンソー  
13%
 
(その他、パイプソー、カッター、背負式エンジン枝打機)
(後期枝打ち)
2回目の枝打ちに使用される道具(複数使用あり)
のこぎり
53% (枝打ち専用ノコ含む)
  なた  
27% (枝打ち専用ナタ含む)
  チェーンソー  
13%
 
(その他 カッター、背負式エンジン枝打機)

枝打ちの道具には、鉈(なた)、鋸(のこぎり)、小型のトップハンド型チェーンソーやパイプソー、背負式枝打ち機などが利用されている。それぞれ、地形・木の種類、生育年代などで使い分けされる。なお、鉈(のこぎり)は重量が比較的重く、枝打ちでは高所の枝に対して片手で操作するためにある程度の技術がいるが、短時間でスパッと作業ができる鉈(なた)を熟練者は好む。鋸には枝打ち専用の柄の長いものもある。鋸の場合、切断に時間がかかるが、比較的きれいに枝打ち処理ができる。また高木では柄の長い鋸が使用される。

III. 保有しているチェンソーについての質問

graph
大型(伐採用)   小型(枝切り・小径木用)  
  ハスクバーナ
21%
  ゼノア
42%
  ゼノア
21%
  新ダイワ
14%
  スチール
18%
  スチール
14%
  新ダイワ
12%
  共立
9%
  共立
9%
  その他
21%
  その他
19%
   
 


(大型―伐採用)  
  排気量 平均 48cc (最小37cc最大75cc)
  耐用年数 平均 4.5年 (最小2年 最長8年)
  トラブル エンジンが大きいとキックバックの反動も大きい。
バーが曲がる等多数。


(小型―枝切り用)  
  排気量 平均32cc (最小25cc 最大40cc)
  耐用年数 平均 4.3年 (最小2年 最長5年)
  トラブル 高い所での作業のため、軽量化、安全性を重視してほしい
片手作業のため安全カバー、ストッパー等要。


i.) 故障・一部破損の場合の対応(どこまでなら自分たちで行うか)
・部品交換のみ
50%
  ・組合で修理をする  
30%
  ・各自で独自にメンテナンス  
20%

(組合独自に修理する場合)

・基本的には全部組合で修理、ただし罰金制
・キャブレターの整備、エンジン回りの点検整備

(部品交換の場合)

・ソーチェーン交換、プラグ交換、ただしシリンダー等はメーカーにお願いしている。

(各自独自にメンテナンス)

・部品取りとして古いチェンソーの部品を取って直など。

ii.) 使用上の安全対策について(枝噛み対策や、使用時に故障した場合の対策など)

・チェーンソーを2台持って行く。鋸、矢、ヨキを持たせる。
・チェーンソー防護ズボン・チャップス(足カバ−)着用を徹底している
・チェーンソー操作は基本どおり使用する。
・毎日使用前後はメンテナンスを各自おこなうようにしている

枝打ちにチェーンソーを利用する場合は、片手で操作できる重量2キロ、排気量30ccくらいのトップハンド型が利用されている。ただし、通常のチェーンソーと同様、キックバックには注意が必要で、事故も多い。

iii.) 燃料やバッテリーの予備を一人当たりどれくらい持参するか

平均4.2リットル

枝打ち作業に持参するものとして、ベルト、安全帯、ロープそして梯子など。梯子を使わず足に付ける昇降器を利用する場合もある。その他、脚半、手甲(手首保護)、帽子など。チェーンソーを使用する場合は燃料としてペットボトル2〜5本の予備燃料など持参する。運搬時の重量はおおよそ15キロ以内、チェーンソーがなければ10キロくらいの装備で行われる。ほとんどの枝打ち作業は移動がしやすい林道周辺で重点的に行われ、自動車にスペアのチェーンソーや他の動力機を備えている。

IV.高性能機械についての質問

  台数
(内レンタル)
耐用年数
  フォワーダー
2.7
(1)
6.7年
  スイング・タワーヤーダ
1.8
(1)
7.5年
  ハーベスタ
1.6
(1)
6.7年
  プロセッサ
1.8
6.3年
  その他
4.3
(1.5)
7.4年
  *その他にはグラップル、バックホーなど

ii.) 高性能機器の問題点

・フォワーダー
多く積むと前が浮いてしまう。修理代が高い。油圧ホースが流量にあってないのかすぐに敗れる。
グラップル能力の向上。
・スイング・タワーヤーダ
キャレージ発信装置が不具合、燃料消費の改良(架線に較べ多い)
・ハーベスタ
油圧シリンダが弱い。本体及びヘッドの小型化が必要
・プロセッサ
桧の皮がはげる。グリップの回転軸の鎖が壊れやすい。
油圧ホースが流量にあってないのかすぐに敗れる。グラップル能力の向上、キャビンの向上。

v. 震災以後の林業について

震災直後から現在までの価格推移および引合いの状況について


(東日本)
・直後に若干値上、東北までの道路開通後値下り、引合ガタ落ち(カラマツ)。
・現在若干持ち直し。
・H23.3〜4月に杭用丸太の注文あったが現在なし。
・まだまだ価額は低迷している。平成24年度に期待している。
・もっともっと国産材を使用するシステムの構築をつくるべき。

(中部地方)
・直後には仮設住宅用の注文があった。
・震災直後(5月)頃より、価格は低下してきたが、9月頃より徐々に上昇しているが年末を控え少し下がりぎみ。
・震災直後は劇的に値段が下がった。いまは80%ほどの水準に戻った。
・特になし、市売を運営しているが、東北方面への流れも出てきた。

(西日本)
・以前と変わらない。
・直後には仮設住宅用の杭丸太の需要が増加した。最近は特に影響がないと思われる。

昨年は早春に大震災が起こり、一時的に流通機能が麻痺状態になったことで4月から5月にかけて受注案件の停滞がおきました。木材価格は震災直後に大きく低迷し、その後も回復は緩やかで、依然として価格が落ち込んだままの地域もあります。またヨーロッパの金融不安からくるさらなる円高が、国内材の価格競争力を削ぐ方向に進んでいます。また秋に近畿、東南海地方をおそった大型台風の被害は広範囲におよび、森林組合は林道や県道にいたる補修作業や倒木の処理などに多くのコストを強いられました。放射性物質の飛散や巨大台風、円高など、林業を取り巻く環境と世界経済はさらに厳しい状況に追い込んでいます。日本人は昔から森を守り、森の恵みを生かすことにより自然と共存してきましたが、日本人と森林は切っても切れない結びつきがあり、森林とともに歩まなければならないという宿命を厳しい状況の中から国民が感じとり、国民の総意として林業の復興が進んでいけることを望みます。
アンケートご協力いただき、誠にありがとうございました。
 

以 上

アンケートへのご協力ありがとうございました。
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